Archive for2013/4

GPS将棋が三浦八段に勝利、電王戦はコンピュータ将棋が勝ち越し

第2回電王戦の最終第5局が4月20日(土)に行われ、102手でGPS将棋三浦弘行八段に勝ちました。団体戦としての最終成績は、コンピュータ将棋チームが3勝1敗1分でプロ棋士チームを降す形になりました。すでに広く報じられています(朝日新聞読売新聞NHKなど)。

今年の名人戦挑戦権を最後まで争っていたA級八段と、第22回世界コンピュータ将棋選手権に優勝し700台近い大規模クラスタからなるコンピュータ将棋との対戦は、後者の完勝に終わりました。前4局と同様、今回もまたコンピュータ将棋の先攻をプロ棋士が受けて立つ展開。プロ側に悪手らしい悪手はありませんでしたが、GPS将棋は一方的な攻勢を止めることなく勝負を決めました。

プロ棋士チームとコンピュータ将棋チームとの間で争われた初の公式団体戦はコンピュータ将棋チームの勝ち。これでコンピュータ将棋が人智を超えた、というには5局はまだまだ少ないといえます。しかし、最終局のGPS将棋が見せた非の打ち所のない指し回しは、感嘆すべきコンピュータ将棋の強さを広く世に示しました。コンピュータ将棋は、将棋の内容、レベルの高さを間違いなく証明しました。

もっとも、人類との対戦はこれで終わりではないでしょう。次の機会、プロ棋士はコンピュータ将棋を惑わす策を編み出すか? あるいは、いよいよ最強の棋士が登場するか? 社会の注目を集めた今回の5戦勝負は、将棋ファンのみならず、社会的な想像力をかきたてたことでしょう。

また、今回の5戦は、コンピュータ将棋の、そして情報科学の興味深い示唆も与えています。プロ棋士の策に落ちコンピュータ将棋が完敗した初戦、一進一退の攻防が続くも最後にコンピュータ将棋競り勝った第2戦、コンピュータ将棋がしたたかさと脆さの両面を見せるも最後は忍耐の末に勝利した第3戦、「入玉」という状況の急変に翻弄されコンピュータ将棋が勝利を逸した第4戦、そして巨大戦力の完璧さを披露した最終戦。いずれも今後のコンピュータ将棋、そして広く情報科学の研究に必ず参照される題材となることでしょう。

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【電王戦】プロ棋士vsコンピュータ将棋、公式戦史上初の持将棋

第2回電王戦第4局が本日行われ、230手で塚田泰明九段Puella αとの間に持将棋が成立、規定により引き分け扱いとなりました。通算成績はコンピュータ将棋チームの2勝1敗1分となり、リードを保ち負け越しなしの状況を確保したものの、勝ち越しを決めることはできませんでした。

報道(朝日新聞読売新聞など)だけでは、持将棋が何なのかわかりにくいと思いますので、少し説明します。第2回電王戦前3局と同様に今回もコンピュータ将棋側が開戦しプロ棋士が受けて立つ展開になりましたが、今回はPuella αの攻めが成功、塚田九段は自陣の壊滅と引き換えに自玉を上部へと脱出し入玉を目指しました。圧倒的優勢ながら敵玉に脱出されて詰ますことが困難になったPuella αは攻めをあきらめ、同じように自らの玉を入玉させました。双方入玉したときにはPuella αが圧倒的な駒得を果たしており、双方入玉時の24点制による駒数計算によりPuella αの勝ちと判定されることになると思われました。しかし、ここから塚田九段が猛反撃を見せ駒損を急回復、220手過ぎに24点まで回復し、230手の時点で塚田九段が持将棋24点規定の適用を提案しました。Puella αの開発者の伊藤さんがこの提案に同意、持将棋が成立しました。第2回電王戦はプロ棋士同士の公式戦と異なり「午後4時以降の指し直しなし」の規定があるため、持将棋が最終的な結果となり、引き分けが記録されました。

プロ棋士とコンピュータ将棋との公式対局で持将棋が成立したのは史上初めて。プロ棋士同士でも滅多に生じないこの結末が議論を呼ぶことは必至ですが、「敵玉を詰ます」という勝利条件、「24点未満」の敗北条件いずれも満たされなかった以上、引き分けはやむを得ない結末といえます。Puella αにとっては圧倒的勝勢に立ちながら勝ち切れず、塚田九段にとっては大苦戦を強いられたうえに引き分けに持ち込むのがやっと、団体戦で勝ち越せないことも決まってしまった、という決着で、「痛み分け」と表現するのが妥当でしょう。とはいえ、これ以上はないと思われた第3局を上回る死闘は、社会的にも、またコンピュータ将棋の課題を露呈したという意味で研究的にも、忘れ去られることのない対局となりました。

第2回電王戦もついに残り1局。最終第5局は来週、 三浦弘行八段GPS将棋との対戦です。第5局の予告動画もすでに閲覧できます。GPS将棋が引き分け以上ならコンピュータ将棋チームの勝ち越しとなる一方、負ければ予想外の団体戦引き分けとなります。上記リンクのうち動画へのリンクはniconicoへのログインが必要ですので、会員でない方はこの機会に登録されてはいかがでしょう。第5局もこれまで通りニコファーレで大盤解説会が行われますが、第2局第3局第4局と同様にプレミアム会員は大盤解説会に無料入場できるようです。

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電王戦はコンピュータ将棋がリード、ツツカナが死闘を制す

第2回電王戦第3局が本日行われ、184手で後手番のツツカナ船江恒平五段を降し、コンピュータ将棋チームが2連勝で2勝1敗と第2回電王戦で初めてリードを奪いました。

第2局以上の激闘となった本局は、無理気味に攻めさせられた第1局に近い展開となり、人間ペースの展開となりました。午後4時頃には船江五段ツツカナの玉に迫り、早い終局となるかと思われましたが、ツツカナがしぶとく受けて踏みとどまり、一瞬のスキを突いて反撃、逆転勝ちを決めたかに見えました。

しかしあと一歩というところでツツカナの玉に詰み筋が生じたためいったん受けに回らざるを得ず、1手の余裕を得た船江五段が自陣を立て直して再度優位に立ちました。しかし、決して心が折れることのないツツカナもいったん攻めを諦め自陣を立て直す手を続けました。戦いは長期戦となり、疲労と残り時間切迫で指し手が乱れた船江五段ツツカナ再度攻め、最後はわずかな差を守って激闘を制しました。

今回もマスメディアで広く報じられています(朝日新聞読売新聞など)。コンピュータは勝ったものの、得意と思われる終盤にも読みに不完全なところがあったと思われ、それがドラマティックな展開を呼んだといえそうです。両対局者ともハイレベルながら不完全であるがゆえに、感動を呼ぶ死闘であったと思います。

第2回電王戦は3局を終え残り2局。次回第4局は来週、 塚田泰明九段Puella αが対戦します。第4局の予告動画はすでに閲覧できます。第4局にはコンピュータ将棋チームの勝ち越しがかかります。上記リンクのうち動画へのリンクはniconicoへのログインが必要ですので、会員でない方はこの機会に登録されてはいかがでしょう。第4局もこれまで通りニコファーレで大盤解説会が行われますが、第2局第3局と同様にプレミアム会員は大盤解説会に無料入場できるようです。

明日は、第19回コンピュータ将棋オープン戦が開催されます。

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