Archive for2014/3

第3回将棋電王戦第3局は豊島七段勝ちプロ棋士1勝返す

第3回将棋電王戦第3局が本日3月29日(土)に行われ、豊島将之七段が83手でYSSに完勝。シリーズではプロ棋士チームが待望の初勝利をあげました。

本局は豊島七段が横歩取りに誘導しYSSが誘導に応じる、という展開で戦型が決定した後、20手目△6二玉に対して豊島七段が強襲を仕掛けて早くも優位を築きました。戦いが始まった時点での豊島七段の消費時間はわずか3分未満で、YSSの指し方を予測した周到な準備が明らかでした。

第3回将棋電王戦の前2局は、プロ棋士側がコンピュータ将棋側よりも先に多くの時間を消費して中盤の難所に突入、そこでコンピュータ将棋が優位に立ち(形勢がもつれることはあっても)勝ち切る、という展開でしたが、本局はプロが決断よく指して時間と体力を温存し、かつ優位を順調に拡大、という人間にとって理想的な展開でした。終了時刻も前2局に比べてかなり早い17時前。将棋電王戦通算では第2回阿部光瑠四段以来の勝ち星。プロ棋士を応援しながらも、どうしたらコンピュータに勝てるのかわからない、という途方に暮れる心境だった多くのファンも、かなり勇気づけられたのではないでしょうか。

20手目△6二玉と指す前の局面は定跡化されており、△4一玉や△5二玉が多く指される形です。それらを指していれば本局のように開始30手足らずで後手が劣勢になるようなことはなかったでしょう。したがって、YSSがそれらの定跡を搭載して定跡どおり指していればこの展開は避けられたと考えられます。ただし定跡どおりの指し手を増やした場合、相手の都合の良い定跡に誘導されやすくなるデメリットが生じることも多く、定跡の搭載はほどほどに、という開発方針がコンピュータ将棋では主流のようです。しかし定跡を知らないために悪手を指すリスクも当然あり、事前研究のしやすい第3回将棋電王戦ではそのリスクが大きくなると考えられます。コンピュータ将棋にとって、事前知識としての定跡をどの程度、どの部分で持っておくのが最善か、という課題が突きつけられた、と言えるかもしれません。あるいは、序盤でもっと深く読んで定跡に近い水準の手を確実に指せるようにすべきか、横歩取りのような激しい変化の多い形で特に深く読むよう調整すべきか、などを考えるべきかもしれません。

来週4月5日(土)の第4局は▲ツツカナ-△森下卓九段戦です。森下九段が勝てばプロ棋士とコンピュータ将棋の団体戦成績がタイとなって最終局を迎える一方、ツツカナが勝てば3年連続のコンピュータ将棋チームの勝ち越しとなる状況は変わりません。

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第3回将棋電王戦第2局はやねうら王が勝ちコンピュータ将棋連勝

第3回将棋電王戦第2局が本日3月22日(土)に行われ、やねうら王が手で佐藤紳哉六段に95手で勝ち。シリーズではコンピュータ将棋チーム2連勝となりました。

本局は初手▲1六歩から波乱含みの立ち上がりでしたが、急な戦いにはならず、先手やねうら王の四間飛車に後手佐藤六段の居飛車穴熊に落ち着いてじっくりした戦いに。その後の38手目△8六歩で、第1回からの将棋電王戦通算8局目で初めてプロ棋士側から仕掛けて戦いが始まりました。対するやねうら王の反撃は桂損を招いてやや無理気味かと思われましたが、6筋からの継ぎ歩攻めを成功させて優勢に。69手目▲6四同角が悪手で70手目△6三香から角がただで取られ混戦になったものの、充分な持時間を残していたやねうら王が結局勝ち切りました。

これまでの将棋電王戦の傾向と同様、プロ棋士側から見ると、おおむねコンピュータ将棋側よりも先に多くの時間を消費して慎重に展開を進め、やや有利と思われる局面に持ち込みましたが、はっきりとした優位が得られないまま中盤のねじり合いで形勢を損ね、粘りも及ばず、という内容でした。第3回将棋電王戦のルールでは、当ブログを含め、戦前にコンピュータ将棋が「丸裸」にされ、なすすべなくプロ棋士に敗れるのでは、との懸念が一部にありましたが、プロ棋士にとっても理想通りに戦うのは容易でない、ということが示されつつあります。持時間が早く減少することで急所の局面、本局でいえば先手の6筋の継ぎ歩攻めに対する受けを読む局面で残り時間に余裕がなく、プロ棋士の敗因になっているという印象を受けます。

本局の直前、既定の開発期間後に提出されたデバッグ版による対局を特例で認めるか、いや認めない、というやりとりがあって議論を呼びましたが、本番でのやねうら王は特に乱れた様子を見せず、悪手はあったものの明らかな誤動作は起こさず無事に対局を乗り切ったようです。ただし電王手くん佐藤六段の考慮中に目的なく盤上にアームを伸ばして思考や着手の邪魔になったと思われる場面が何度かあり、佐藤六段にとって精神的に気の毒な状況となっていたかもしれません。

来週3月29日(土)の第3局は先手豊島将之七段-後手YSS戦です。YSSがこれに勝てば早くも3年連続のコンピュータ将棋チームの勝ち越しが決まります。

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第3回将棋電王戦開幕、習甦が勝ちコンピュータ将棋先行

本日3月15日(土)、第3回将棋電王戦が開幕。第1局菅井竜也五段-習甦戦は習甦の勝ち。団体戦としてはコンピュータ将棋チームが先勝しました。

今回は第2回からルールが変わり、コンピュータ将棋へのハンディキャップが大きく、当初から苦戦が予想されました。当ブログでもプロ棋士チームが有利ではないかと予想しておりました。コンピュータ将棋の全ソフトが提出されてから約4ヶ月間、プロ棋士チームは来たるべき敵を先に入手して対策を立てることができるのに対し、提出後のソフトは一切の改良が不可能。対戦順の発表もソフト提出後でした。コンピュータ将棋側にとっては最悪の場合、終始プロ棋士の掌で踊らされ、ノーチャンスで敗れる、という展開も危惧されました。

しかし本局は習甦が作戦負けを喫するような展開にはならず、戦いが始まってからはじわじわと優位を広げ、不利な局面を一度も迎えない危なげない内容で快勝。第2回に続いて2回連続出場となる習甦の前回は阿部光瑠四段の術中にはまり、強みを見せられない展開で敗れましたが、今回プロ棋士へのリベンジを果たしました。

今回はコンピュータ将棋以外にも、開幕直前に明かされたロボットアーム「電王手くん」がコンピュータ将棋側の操作を行っており、技術面の注目度が高まっています。来週3月22日(土)の第2局佐藤紳哉六段やねうら王戦です。開幕局の結果を受け、さらに話題になりそうです。

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ponanza、100万円の賞金首となり対人166戦全勝

昨年の第1回将棋電王トーナメントで優勝したponanzaが、電王ponanzaに勝てたら賞金100万円!|第3回 将棋電王戦 開催記念イベントにて、強豪ひしめくアマチュア棋客と4日間で合計166局の対局を行い、すべて勝利しました。ponanzaへの挑戦者にとってはひとつでも勝利すれば賞金100万円を獲得できるビッグマッチであるため、多くの実力者が繰り返し策を凝らして挑みましたが、ついに一度たりともコンピュータ将棋を打ち破ることはできませんでした。

ルールや対局条件の詳細はイベントサイトをご覧ください。ponanza開発チームは、全勝ボーナス20万円を獲得しました。

同様の企画は昨年も行われましたが、このとき挑戦を受けて立ったGPS将棋は3度の敗戦を喫し、3人のアマ強豪が100万円を獲得しました。コンピュータ将棋強しといえども不敗を保つことが至難の業であることがこのとき示されましたが、ponanzaは数局で危うい局面を迎えながらも最後にはすべて勝ち切りました。優勢の局面では隙を見せず、また劣勢でも正確な指し手を続けて人間に楽をさせず、ミスを誘いすべて逆転勝ちしたのでした。

今回のイベントは話題性も高く、エンターテインメントとしても成功を収める一方、技術的、戦術論的、また心理学的にも注目に値する戦いが繰り広げられたと感じさせるものでした。圧倒的な強さを見せるコンピュータ将棋に対して、参加者はどこに弱点や付け入る隙を見出し、いかなる展開を想定し、最後まで優位を保つ構想を築いたか。それらをすべて跳ね返したコンピュータ将棋の何が人間と違っていたのか…。タイムシフト予約をされた方、またniconicoのプレミアム会員の方は今からでも4日間の模様をイベントサイトからたどって視聴できます。

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コンピュータ将棋協会3月例会のお知らせ

3月のコンピュータ将棋協会例会(隔月)は、通常どおり第2土曜日の開催です。例年の3月例会と同様、今回は年1回の総会が行われます。総会議題の議決への参加や理事への立候補などを検討している方は是非ご参加ください。

Google Mapsへのリンク

総会議題が以下が予定されています。

  1. 2013年度事業報告に関する件
  2. 2013年度決算報告に関する件
  3. 2013年度決算の監査報告に関する件
  4. 2014年度役員選任に関する件
  5. 2014年度事業計画に関する件
  6. 2014年度予算に関する件
  7. 会則変更の件
    • 事務局移転
    • その他
  8. その他

対局サーバテストへの参加をご希望の方は、将棋プログラムがインストールされた、イーサネットへの接続が可能なPCをご持参ください。事前のお申し込みは不要です。ログイン名の登録がお済みでない方は、当日の設定を受け付けます。

コンピュータ将棋協会の例会には、コンピュータ将棋協会の会員であればどなたでも事前申込なしに参加していただけます。入会につきましては、こちらをご参照ください。

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